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淫と乱
第3章 スケスケ
 
 一軒家の扉を開けて姿を消した霧島さん。


…ここが…霧島さんの家かぁ………


 玄関口に佇み、暗がりの中で家を見上げる。

 大きくも小さくもない家。

 周りの家と同調した佇まいを見せている普通の家。

 オレの家と大差ない作りの家を見ながら、オレは更に興奮を昂らせた。


…これが霧島さんの…
…毎日霧島さんがこの中で…
……あんな事やこんな事……
…あんな姿したり…こんな………


 繰り広げられていく妄想。

 頭の中に浮かぶ霧島さんのあられもない姿に、ますますムスコが元気になっていく。

 決して、この家を見て興奮した訳じゃない。

 この家に住む、霧島さんを想像して興奮したのだと強く言いたい。

「あ……ヤバ………」

 家を見上げて数分後。

 とある不安が過ぎった。

 既に霧島さんが家に入ってから時間が経っていた。

 霧島さんが家に入った時に、鍵を掛けたか分からなくなっていた。

 いくら存在感が皆無になっていたとしても、扉を擦り抜ける事なんて出来ない。

 多分。

 鍵を掛けられたら、エモノを前にしながら、そこでゲームセットだった。

 扉の反対側に霧島さんの気配は感じられない。

 初めて霧島さんの家に足を踏み入れる事に速まる鼓動。

 興奮を覚えながら、オレは扉を引いた。


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