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淫と乱
第4章 ブルブル
目の前でフヨフヨと浮いている赤い携帯。
何処か見覚えのある折り畳み式の赤い携帯。
何度と逆に曲げそうになった赤い携帯。
「ふえっ!?」
慌ててソファーの上を見る。
さっき置いた筈の携帯は其処に無かった。
「…もう…投げるなんて酷いブルっ」
再び聞こえる甲高い声。
恐る恐る顔を向ける。
「…いい加減、逆に曲がらないのも覚えて欲しいブルっ」
間違いなかった。
外部ディスプレイがピカピカと光る度に甲高い声が聞こえてくる。
「……………」
膝を抱えた儘、無言で携帯を見詰める。
どう見たって、長年愛用してきた真希の赤い携帯だった。
「…ビックリして声も出ないブルっ?」
フヨフヨ浮いて、甲高い声で話し掛けてくるのは明らかに真希の携帯。
「…黙られると困るブルっ
それとも怖いブルかあ?」
甲高い声が若干低くなった。
真希の体が微かに震える。
「…やっぱり…いきなり無機質の物体が話したり浮いたら怖いブルよねぇ」
ディスプレイをピカピカさせながら甲高い声で凄んでくる携帯。
もう我慢の限界。
耐えられなかった。
ガバッと起き上がる真希の体。
小柄な真希でも見下ろせる位置に浮かんでいる携帯を見詰める。
「…な、何だブルっ」
動揺する携帯を見詰め、真希は口を開いた。
「すごぉいっ! 真希の携帯って、こんな機能が付いてたんだねぇっ!」