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淫と乱
第4章 ブルブル
 
「…だから、物は大事に扱えと言われてるブルよねっ!?
 恭子っちにも何回も………」

 今度は自分の携帯に怒られてる。

 それにしても、全力で壁にぶつけたのに壊れてないとか、流石は真希の携帯。

 それとも、真希が非力なのかもしれないけど。

「…聞いてるブルか?」

「あっ……き、聞いてるよぉ、勿論っ」

 人間で言ったら、明らかにジト目で見ているような声色だった。


…何で夜中に自分の携帯に怒られてんだろ……


「…だからであって……って、やっぱり聞いてないブルねっ」

「うわっ! ご、ごめんなさぁいっ」

 強い言葉に思わず謝るしかなかった。

「…大体真希っちはそんなんだから………」

 今度は愚痴が始まりそうな予感。

 これ以上は勘弁して欲しかった。

 こうなったら、話を変えるしかない。

「ね、ねぇ?」

「…というところを考え……何だブルっ?」

「あ…あのね? 何で……そんな話せるの?」

「……………」

 素朴な疑問をぶつけてみたら、何故か黙った。

「……………」

 真希も黙って答えを待った。

「……………」

「……………」

 なかなか話してくれない。

「…今更ブルかぁぁぁっ!?」

 夜中に甲高い声での絶叫。

 近所迷惑だから止めて欲しかった。
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