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淫と乱
第4章 ブルブル
何だか、携帯にハアハアと肩で息をしている姿が被って見える。
「……ふぅん……そうだったんだぁ………」
「…もう…真希っちには怖がらないとか…不思議がるとか期待しないブルっ………」
プカプカと浮いているのも、携帯の機能だと思っていたから仕方ない。
流暢に喋るものだと、すこぉしは驚いたけど。
「で、何でつくちゃんは今になって?」
「…つくちゃんっ!?」
語尾の『ブル』が無くなるくらいビックリしてる。
「う、うん…。真希の携帯の付喪神なんでしょ?
だから、付喪神のつくちゃん」
我ながら、良いネーミングセンスだと思うんだけど。
「……………」
「気に…入らなかった?」
好みは人それぞれだから仕方ない。
つくちゃんは人じゃないけど、やはり好みはあるかもしれない。
「……………」
依然として黙った儘のつくちゃん。
「…ね、ねぇ?」
無言に耐え切れなくなって、膝に手を着いてつくちゃんを覗き込んだ。
顔なんてないから、外部ディスプレイを覗き込む。
忙しなく、色んな色で発光を繰り返すディスプレイ。
「…つ、つく…ちゃん?」
「…ひ、人を舐めるのも……」
「つくちゃんって……人?」
「い、イヤ……人じゃないけどブルっ…
って……人…携帯を舐めるのも大概にするブルぅぅぅっ!」
「うにゃぁっ!?」
怒声が聞こえたと思ったら、パカッと開いたつくちゃん。
見せられたディスプレイには、『怒』の一文字がデカデカと出ていた。