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淫と乱
第5章 ドロドロ
『…痛っ! ぬわっ!! ゴフッ………ま…真希っち……もう少し………』
頭の中に直接話し掛けてくるつくちゃん。
しかし、そんなのに答えてる余裕は無かった。
「……………」
「……………」
周りから突き刺さるような視線。
平常心を装って、バッグをブンブン振りながら歩く。
つくちゃんの言葉からして、きっとバッグの中はゴチャゴチャ。
『…ま、真希っち聞いてるブルっ?』
「……………」
「……………」
注目を浴びてる中、返事なんてしたら余計怪しい。
おまけにピタッと一定の距離を置いて、みんな歩いてる。
行き先が同じなんだから仕方ないんだけど。
『…もしかして……注目浴びて…真希っち……朝から………』
バッグを持った腕をグルグル回す。
『…うぇっ!? ちょ、ちょっと真希っちっ!? な、何をしてるブルっ!?』
いきなりの高速回転に、つくちゃんの戸惑う声が脳に響く。
「……いっけぇぇぇっ!」
真希に躊躇いは無かった。
どうせ、バッグの中身は既にグチャグチャ。
壊れたり割れたりする物なんて入ってない。
全身を使って振り払った右手から、スポーンとバッグが離れていく。
『…何か…変な浮遊感感じるブルよぉっ!?』
つくちゃんの声はシャットアウト。
真希の目は飛んでいくバッグを追っていた。
「最高新記録達成」
小柄な身長の割りに意外と飛んだ事に満足だった。
「…アンタ……朝から何やってんの?」
満足感に浸っていたら、いきなり背後から声を掛けられた。
肩がビクッと跳ね上がったのは言うまでもない。