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真紅の絆
第3章 二話
「殿…殿ともあろうお方が、連れもなくお一人で出歩くのはどうかと思いますよ?」
可愛げもなく苦言を言ってしまう。まるで父のようだと心が重くなった。
でも背後によく知った気配を感じて、くるりと後ろを振り返った。
「…気づいたか。才蔵が来てる」
「なら安心ですね」
「たかがお袋に会いに来るだけなのになー…」
「才蔵一人でも足りないくらいですけど?」
面白くなさそうに言う主君に、思わず苦笑をしてしまった。
「だからお前もいるんだろ?一応、桃んちの使用人から、お前がここに来てるって聞いたからな」
当たり前だろ?というような主君。
はて?と首をしげった。
「もしかして、殿。俺の家まで行きました?」
「行ったよ。お前が非番でも、俺はお前に会いたいんだよ。お前がお袋に会いに来てるって言うから来たんだぜ?じゃなかったら、口うるせーお袋に会いたくないぜ」
さぁーっと血の気が引く思いがした。
樋口の家まで来た、ということは、当然父にも報告が行く。わざわざ雅影が桃丸を訪ねて来たということを…。
筆頭家老である父は苦々しく思うだろう。主君がわざわざ臣下を訪ねて来るなど…。
もしかしたら、雅影も注意を受けるかもしれない。
でも桃丸は注意では済まされない。部下であり、実の息子なのだから。
「殿。殿と俺は、主と家臣です。わざわざご自身で家に来なくても、俺を呼びつければいいのでは?」
苛立ちが表に出てしまった。
それが伝わったのか、雅影の目にも険が宿る。
ますい。そう思っても止められなかった。
「感じの悪い言い方だな。最近のお前は冷たいぜ。なにその呼びつければ?って。じゃあ夜中でも呼びつければお前は来るのかよ?」
「行きますよ。火急の用ならば。それが臣下というものです」
父の受け売りをそのまま口に出してしまった。
可愛げもなく苦言を言ってしまう。まるで父のようだと心が重くなった。
でも背後によく知った気配を感じて、くるりと後ろを振り返った。
「…気づいたか。才蔵が来てる」
「なら安心ですね」
「たかがお袋に会いに来るだけなのになー…」
「才蔵一人でも足りないくらいですけど?」
面白くなさそうに言う主君に、思わず苦笑をしてしまった。
「だからお前もいるんだろ?一応、桃んちの使用人から、お前がここに来てるって聞いたからな」
当たり前だろ?というような主君。
はて?と首をしげった。
「もしかして、殿。俺の家まで行きました?」
「行ったよ。お前が非番でも、俺はお前に会いたいんだよ。お前がお袋に会いに来てるって言うから来たんだぜ?じゃなかったら、口うるせーお袋に会いたくないぜ」
さぁーっと血の気が引く思いがした。
樋口の家まで来た、ということは、当然父にも報告が行く。わざわざ雅影が桃丸を訪ねて来たということを…。
筆頭家老である父は苦々しく思うだろう。主君がわざわざ臣下を訪ねて来るなど…。
もしかしたら、雅影も注意を受けるかもしれない。
でも桃丸は注意では済まされない。部下であり、実の息子なのだから。
「殿。殿と俺は、主と家臣です。わざわざご自身で家に来なくても、俺を呼びつければいいのでは?」
苛立ちが表に出てしまった。
それが伝わったのか、雅影の目にも険が宿る。
ますい。そう思っても止められなかった。
「感じの悪い言い方だな。最近のお前は冷たいぜ。なにその呼びつければ?って。じゃあ夜中でも呼びつければお前は来るのかよ?」
「行きますよ。火急の用ならば。それが臣下というものです」
父の受け売りをそのまま口に出してしまった。