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宵闇
第9章 溶ける
「あんな虚しくて悲しい思いもうやだ……!
だから、私もう誰ともつき合ったりしない、そういうことしたりしないって、そう決めたの────!」
そこまで一気に話して大きく息を吐くも、高ぶってしまっている感情はそんなことではおさまるわけがない。
荒くなってしまう呼吸。
勝手に歪んでしまう顔を隠すように、手の甲を目に当てた。
「……っ……ごめんなさい……!」
吐き出したあとの、後悔。
こんなことを言われても、葉月くんだってきっと困るって頭のどこかでわかってはいた。
でも、もう途中で止めることもできず、吐き出しきってから、こんなふうに謝ることしかできない自分が嫌になる。
いくらなんでも頼りすぎてる。
私は葉月くんに甘えすぎてる────。
「琴音ちゃん」
葉月くんの声がする。
反射的にまた、謝った。
「ごめんなさい、こんな話……っ」
どうしても涙が止まらない。
……苦しかった。
本当にずっと苦しかった。
たぶん、黙っているのももう限界だったのかもしれない。
でも葉月くんきっと困ってる。
何て答えたらいいか、私を傷つけない言い方は何か、きっと考えてる。
言葉をいつも選んでくれる葉月くんに甘えて、吐き出して、それを一緒に背負わせようとしてる。
もとはといえば、葉月くんのアドバイスを無視した私の浅はかさが原因なのに。
彼氏なんて焦って作るようなものじゃないから──ちゃんとそう言ってくれてたのに。
考えれば考えるほど、勝手な自分に嫌気がさす。
そして葉月くんに知られてしまったこんな私。
内心、呆れてるかもしれない。
心の中で溜め息をついてるかもしれない。
……葉月くんにそんなふうな態度を取られたら、私きっと耐えられない。
だったらもういっそのこと、消えてしまいたい────。
──そのときだった。