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宵闇
第9章 溶ける
「……相手っていつも一方的だったんだよね?
じゃあ前戯は? それも適当だったの?」
少しの沈黙のあと、そう問われた。
そして私は正直、挿れられたあとの苦しさしか覚えていないことに気づく。
「……私、先輩しか知らないから普通とか、わからないけど。
えっと……始めるとけっこうすぐ、その……」
「挿れられるんだ?」
頷くと、葉月くんが溜め息をつきながら目を伏せた。
「……相手が悪かったとは思えない?」
それから、再び私を見てそう言った。
「もちろん、体質的に濡れにくいって人もいるとは思うけど……琴音ちゃんの場合、ちゃんと前戯してもらってないから濡れなかっただけなんじゃないかな?」
「え……」
「まあ──そいつただでさえ初めてのときに、琴音ちゃんにセックスに対する恐怖心とかそういうの植え付けちゃった上に、ずっとそんな一方的なやり方だったんでしょ?
それじゃあ何度したって気持ちよくなれるわけないよ」
「……そう、なのかな……」
先輩だから、だめだっただけなんだろうか。
他の人が相手なら、もしかしたら違ったりするんだろうか──そんなふうに考えても、どうしても、いいイメージができない。