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宵闇
第9章 溶ける
「自信ないな……」
ぽつりと出た本音。
「何の自信?」
「……何のかな。全部……?」
これから先、私に好きな人なんてできるんだろうか。
もしできたとしても、ちゃんとつきあえるんだろうか。
幸せな気分で抱き合うなんてほんとにできるんだろうか。
……全部また、私がだめにしちゃうんじゃないだろうか────。
そんな悲観的なことばかり、頭の中に浮かぶ。
それでも、もうこれ以上葉月くんに心配をかけたくなくて、無理矢理に笑おうとした。
ぎこちない笑いかもしれないけど、それでも、そうした。
「────か」
そのとき、葉月くんが何か呟いたのが微かに耳に届く。
え? と顔をあげて聞き返した私に、再びかけられた言葉。
「自信持てるようにしてあげようか」
……自信?
意味がわからずに戸惑いながら葉月くんを見つめていると、その整った顔が不意に近づいてきた。
──え?
うそ、と心の中で呟く。
だって──だって葉月くんは、私に。
……私に、口づけてきた。
微かに触れるだけ。
でも、間違いなく重ねられた唇の、その感触────。