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宵闇
第9章 溶ける
「だったら──まずはそういう相手で確かめてみるのはどう?
信頼関係のある相手からされるのと、そうでない相手からされるのとではやっぱり違うと思わない?」
「……は、葉月くんのことはもちろん信頼してる、よ?
……だからこうやって、恥ずかしいこともいろいろ話したんだしっ……」
──それでも、やっぱりさすがに。
大きく息を吐き、続ける。
「だけどそれとこれとは────」
「じゃあ新しく彼氏ができたら、そんな不安を抱えたままでその人といられる?
琴音ちゃんがセックスなしの関係を求めていたとしても、男はそれを欲しがるのが普通だよ?」
「……っ、わかってる。
だから、彼氏なんて作らないって決めてる────」
「するのがいやだから彼氏作らないってこと?
でも好きな人ができたら? 最初から付き合うことをもう諦めるの?
……もったいないよ、そんなの」
その言葉に下を向いて唇を噛むと、葉月くんが指先で私のその唇にそっと触れてきた。
痛いよ、と囁かれ、思わず唇を緩める。
撫でるようになぞられ、ぞくっ……と背中に何かが走った感覚がした。
「……ねえ琴音ちゃん」
優しい、声。
優しい、指先。
「とにかく僕と一度試してみよう?」
「……葉月くん……」
「それでももしだめだったとしても、僕たちの関係は何も変わらないよ?
どんな反応をされたとしても僕は琴音ちゃんを嫌いになったりするわけないし、それにそのときはまた一緒に考えてあげられる。
僕と試すことで琴音ちゃんにデメリットなんて何もないんだ」
優しい、言葉。