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宵闇
第9章 溶ける
「それとも、僕からされるの、いや?」
頭の中に響く。
──そのとき、葉月くんの纏う香りがなぜだかとても強く、甘やかに鼻腔をくすぐった。
私の体内に侵入を果たしたそれが、声と、言葉と、一緒になってぐるぐると漂っている。
まるで、葉月くんのことしか考えられなくさせられているような。
……いや?
ううん。いや、じゃないよ。
葉月くんのことは誰よりも信頼してる。
葉月くんから触られたら──私、どうなるのかな。
……どうなっちゃうのかな。
想像した途端、喉の奥がごくりと鳴った。
それは、好奇心?
それとも、純粋に、自分の身体を知りたいだけ?
……わからない。
わからないけど────。
そう、とはっきりと決めたわけじゃなかった。
けれど、葉月くんの胸元に添えていた私の手が、きゅっ、と彼の服を握っていた。
すぐに察してくれた葉月くんの、優しい囁き。
「途中でやっぱりいやだと思ったら言って?
そのときはすぐにやめる。約束する」
そしてまた、おとされた唇。
……何度目のキスだろう。
少し長めに口づけられ、葉月くんの舌が私の唇をつつ、となぞった。
あ……と少し口を開いた瞬間を待っていたかのように、するりと私の中へ入り込むぬるりとしたもの。
ん、と少し引き気味になった私の頭を後頭部から支える手。
葉月くんの舌が、私の口の中を這い回る。
上顎をなぞられたとき、ぞくぞくとした感覚に襲われた。
捕らわれた私の舌。
絡ませられる。
「んっ、うぅ……」
自分の口から漏れてしまう声が妙に甘ったるい。
私って……こんな声も出るんだ────。
そしてそんな自分の声にさらに気分が高まっていくのを感じていた。