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宵闇
第9章 溶ける
「いったことある?」
やがて葉月くんが、私の右手の指に、自分の左手の指を絡めるようにして繋いで……そんなふうに聞いてきた。
「え……?」
いく、って──最初の頃、先輩が行為のあとによく聞いてきた。
『琴音、いった?』って。
でもよくわからなくて曖昧に笑って返すだけの私に、先輩はいつしかそれを聞かなくなっていった。
「わかんない?」
黙っている私に、手の動きを止めて葉月くんが聞いてくる。
なくなった刺激にもどかしさを感じながらも小さく頷くと、そう、と呟き私の唇にひとつキスを落とす。
「じゃあまだ経験ないんだ」
一度いくとどういうことなのかわかるはずだからね、と続けられた言葉。
「……そう、なの?」
そういうものなんだ────。
「琴音ちゃん」
「……ん?」
「気持ちいいって感覚に集中してね。
余計なことは何も考えずに──いい?」
視線を合わせたまま頷いた直後だった。
葉月くんの指がさっきより少し強めにそこを弄り始める。
「ん……! あ、やっ……!」
「痛い?」
「ん……ちが、っあ……っ!」
再び私の身体を快楽が襲う。
ぞくぞくがさらにひどくなる。
葉月くんは円を描くようにそこを淡々と刺激し続けた。
「あ……やぁ……っん……!」
気持ちいい。
すごく、気持ちいい。
声が止められない。