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宵闇
第10章 葉月


初めて会った日のことを、今でもよく覚えている。

緊張した顔で、僕の挨拶に慌ててお辞儀を返してきた、まだ子供だった彼女。


一緒に暮らすうち、僕は彼女に好感を持つようになっていった。


思う存分甘えることなどきっと難しかったであろう雪乃さんとのふたりだけの生活。
そこに僕と父さんが入り込み……結果琴音は、甘えることを許された僕という存在に何でも相談してくるようになった。
僕もそんな琴音が可愛くて仕方なかったし、素直で優しい彼女のよき兄に……よき相談相手になれればいいと、常に気遣い、見守ってきたつもりだった。


──その結果が、これだ。


は……と、思わず漏れた自嘲気味な笑み。


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