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宵闇
第10章 葉月


そして僕は地元で仕事を探し、家から車で30分ほどの距離にある会社に就職を決めた。
距離的には家から通うことももちろん可能だったけれど、そうはせずに会社近くのアパートで一人で暮らすことにした。


家に久しぶりに戻った日。
おかえりなさい、と笑顔で迎えてくれた琴音────。


ただいまと答えながら、こんなふうに真正面から彼女を見たのは何年ぶりだろうと思った。

僕が家を出たときは16歳だった琴音は、もう20歳になっていて……確かに感じた、そのときにはなかった大人な雰囲気。
なのに僕に向ける笑顔は無邪気なままで、僕を慕う眼差しも何も変わっていない。


……すぐに、わかった。
認めざるを得なかった。

この想いが、あの頃よりもさらに募っていることを────。


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