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宵闇
第11章 惑い
やがて電車が降りる駅へと着いた。
待ち合わせは、改札を通ったところ。
時間まで少し早いし、葉月くんはまだ来てないだろうと思ったら────。
「……いるし」
遠目でもわかる、葉月くんの姿。
何というか……やっぱり人目を引くのだ。
「かっこいいもんなあ……」
溜め息をついてから、気持ちを切り替えようと
「よし!」
そんなよくわからない気合いを入れて、葉月くんのいる場所へ近付いた。
葉月くんは携帯を触っていたけど、すぐに私に気づいた。
表情が笑顔へと変わり、とじられた画面。
「琴音ちゃん」
久し振り、といつもと変わらない笑顔でかけられた声。
「あ……うん」
私も笑おうとしたけど、何だかぎこちなくなってるのが自分でもわかる。
葉月くんにも気づかれたようだ。
「……何だか琴音ちゃんの顔、変」
覗き込むようにして指摘され、え……とそのままひきつってしまった笑顔。
「もしかして何か思い出してる?」
頭をぽんぽんと撫でられながらの笑いを含んだ問いかけに、思わずかあっと顔が熱くなる。
「え……と、別に何も……!」
ぶんぶんと首を振って否定するも、さらに葉月くんは続ける。
「……ああ~。そっか」
ふうん、とその含んだ言い方に
「え、何っ!?」
「ん?」
「だから……! そっか、って……どういう意味!?」
「いや。琴音ちゃん……やらしいなあって」
「……っ!?」
にやにやと笑いながら私を見る葉月くん。
明らかにこの前のことを指しているのだろう言葉に絶句してしまう。