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宵闇
第11章 惑い


「ふたりはね、僕の職場の同期。
小野さんと、松下さん」


紹介されたその人たちの方に顔を向けると、挨拶をされた。
私も同じように返す。


「で──妹、です」


今度は私がそう紹介され


「え? ……妹さんだったの!?」


小野さんという派手目な人が、びっくりした様子で答えた。


「なんだ! てっきり彼女かと思ってた!」

「ははっ。残念ながら違いまーす」


葉月くんが笑う。
私はその笑いに、少しだけちくりと胸が痛んだ。


……確かに、違うけど。


葉月くんのその言い方があまりにも明るくて、当たり前なのに……わかってるのに、何だかもやもやとしてしまう。


やがて、仕事関係の何かなんだろうか──私のわからないことで楽しそうに話すふたり。

あらためて見るとその人は美人で……葉月くんと並んでると、なんだかとっても似合っているように思えた。


「──やだ! そうなの!?」


あはは、と小野さんの笑い声。
そのまま、手が葉月くんの肩に置かれた。


──っ……!
やだ、なに────?


それを目にした瞬間、そんなふうに思って……そして、そう思ってしまった自分に驚く。


だって、やだ……なんて。
あの人、葉月くんのお友達なのに。
それぐらい、よくあること。
現に私だって葉月くんにそういうの普通にするし……それなのに何でそんなこと。


もやもやが止まらない。
なんだかもうよくわからない────。


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