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宵闇
第11章 惑い
ごくりと唾液を飲み込む。
「で、でも村上くん……私のこと友達だって────」
「……なわけねーじゃん」
私の言葉を遮るように、溜め息と共に村上くんは言った。
「あのときからずっと……俺の気持ちは変わってないよ」
「え……」
あのときって……高1のとき?
あれからもう5年もたつのに?
なのにずっと変わってないって────。
信じられない思いで村上くんを見つめた私に、なおも続けられる告白。
「桜井が先輩とつきあい始めたとき……ああ、俺じゃだめだったんだなって思ったんだけど。
……でも俺はずっと好きで」
「村上くん……」
「その人と別れたあと、しばらく誰ともつきあう気がないってずっと言ってたから俺もあえて何も言わなかった。
桜井にとって俺は特別な存在だって、それは自分でもわかってたから、今はそれだけでいいっていうか──そう思ってたから」
私を見つめ返してくる真っ直ぐなその目が、心を揺さぶる。
「なのに、合コンって何だよ」
「……っ、それは────」
「そんなんで彼氏探すの?
……俺じゃやっぱりだめなわけ?」
つらそうに目を細められ──私は何も知らないのをいいことに彼を悲しませてしまったんだと気づき、違うよ……と首を振った。
「だって……村上くんにとって私はもうただの友達なんだって……ずっとそう思ってたから────」
まさか、そんなにずっと私を想ってくれてたなんて……知らなかったから。