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宵闇
第11章 惑い
……それから、数日のあいだ。
ずっと考えていた。
ふたりのことを。
私が葉月くんに向ける想い。
村上くんが私に向けてくれる想い。
私が葉月くんに対して抱いているのは間違いなく恋愛感情だと思う。
だって葉月くんが私以外の女の人に笑顔を向けたり、優しくしたり……そういうところなんて見たくない。
誰かに『好き』と言う姿も──あのとき私にしたように誰かを愛する姿も、想像すらしたくない。
葉月くんの視線の先にはいつも私がいたい
考えるのは私のことだけであってほしい。
……そして、あんなふうにまた、触れてほしい────。
ぞく……と、それを考えるだけで身体が熱くなる。
葉月くんからされたこと、忘れてない。
あの唇も、指先も……まなざしも声も全部、そう全部──覚えてる。
そんなふうに私の頭の中は、葉月くんでいっぱいだった。
──けれど。
これは許されない想いなのだと、心の中ではちゃんとわかっていた。
血が繋がってなくても、私は葉月くんの『妹』
それ以上でもそれ以下でも、ないのだと。
絶対に失いたくない葉月くんという存在。
だからこそこの想いは表に出しちゃだめだって、理解してる。
避けられたくない。
距離を置かれたくない。
恋愛関係になれないなら──せめて今までと変わりなく接してほしいから。
それはたぶん、苦しい。
葉月くんへの想いを抱いたまま、今までと変わりなくなんて。
……きっと、苦しい。