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宵闇
第11章 惑い
葉月くんを好きじゃなくなれたらどんなに楽だろう──そう何度も考えた。
前のように、葉月くんのことを大事な『兄』として自然に普通に接することができたらと。
けれど、一度好きだと自覚してしまったら、もうそれは難しかった。
想いにブレーキをかけようと、葉月くんの嫌なところを探しても……考えても、そんな部分なんて何ひとつ私には見つけられないのだから。
葉月くんのことばかり考えていたら、ますます好きになってしまいかねない──そう思った私はまわりに目を向けようと動いた。
それがきっかけになったのか、まさかの……村上くんからの二度目の告白。
高校のときに一度気持ちを断ってからも、村上くんは友達という位置をずっと守りながら私をいつも支えてくれてた。
そういえば、先輩とごたごたしたあのときも庇ってくれたのは──彼だった。
葉月くんが大学に通っていてほとんど会えなかったあいだも、ずっと私の……私と加奈のそばにいてくれて。
そんな彼のことを、私は本当にいい友達として……そう、貴重な異性の友達として、心から大事に思っていた。
村上くんの方は、ずっと私を恋愛対象として見ていてくれたらしいけど、そんなことはまったく表に出さなかったから全然気づかなくて。
……気づかされた今、真剣に考えてほしいと願われた今──本当に、私は悩んでいた。
彼のよさはもうじゅうぶんわかってる。
意識して見てみれば、彼ほど安心して付き合える相手はいないのではないかとも思う。
付き合うことに、障害も何もない。
……葉月くんと違って。