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宵闇
第11章 惑い


村上くんと私の……友達のような、恋人のような、そんな微妙な関係が始まって間もない頃、加奈に『村上と琴音って付き合ってるの?』と聞かれた。
答えに戸惑ってしまった私を庇うように『そうだよ』と躊躇いなく答えた村上くん。

繋がれる手。
求められるキス。
拒んだことは一度もない。
周りからは恋人同士にしか見えないと思う。

唯一、私の気持ちだけがなかなかついていけない状態ではあったけれど、村上くんはそんな私を急かさずに、抱き締めては何度も好きだと言ってくれた。

その言葉に同じように返せたことは一度もなかったけれど──彼の私を見つめる目は、いつもとても優しくて。

……待ってくれているんだな、ってすごく伝わってくる彼の言動のひとつひとつに、時に嬉しく……時に苦しく、そんなふうに心を揺らし続ける日々が過ぎていく────。



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