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宵闇
第11章 惑い
「一生?」
……一生。
そんなふうに、私は?
「そうやってずっと?」
あんな感情に振り回されていくの?
葉月くんに気づかれないように、ひたすらに自分の中だけで、そうやって耐えていくの?
……いや。無理。
無理……考えたくない────!
「なあ桜────」
「わかんないよ! そんなのわかんないってば……!」
彼の口から発せられる問いをこれ以上聞きたくない。
もう何も考えたくない。
だから私は自分の手で両耳を塞いだ。
「聞けよ桜井……!」
それでも聞こえてくる、声。
首を振って拒むと、私の手を掴んで強引に離させるようとする。
「やだっ」
「いいから聞けって!」
抵抗する私の両手首は強く握られ、そして揺さぶられた。
彼から視線だけは逸らし、うつむいたままで唇を噛む。
「俺のこと考える余裕もねーぐらい先輩が好きなんだろ!?
そんな状態で妹のままでなんていられるわけねーだろ! もう無理なんだよ!」
強制的に聞かされる言葉は、認めたくない……でも、頭の中に確かにずっとあった気持ちだ。
「やめてよ……!」
それでも、それを認めてしまったら私は────。
「俺の前で気持ち隠せねーのに、本人前にしたらよけい隠し通せるわけねーだろ……!
……っていうかおまえがそうしてるつもりでも先輩気づくんじゃねーの?」
おまえのことよく知ってんだろーし、と……最後に苦しげにそう呟いた村上くん。
じわり、とまた。
感情が。