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宵闇
第13章 衝動

待ち合わせの駅に着くと、改札の向こう側に葉月くんが立っていた。
私の姿を認めると、軽く手を振って合図してくれる。
久しぶりの葉月くんの姿。
やっぱり好きだなあ、って思ってしまう。
……どうしても。
「ごめんね、急に」
目の前まで行くと、葉月くんが微笑みながら言った。
ううん、と首を振り、私も笑みを作って返す。
「行こうか」
促され、駅に隣接した広い駐車場の奥の方に停めていた車へと移動する。
助手席へと乗り込むと、運転席に座った葉月くんは、ふ……と小さく息を吐いてシートにもたれかかった。
そのまま、なぜか運転する様子を見せない。
「……どうしたの?」
思わず問いかけると葉月くんは、ん……と曖昧な返事をして
「電話で言ってた話、このままここでしてもいいかな」
そう続けた。
「あ、うん……」
それをそう了承しながらも、なんだか葉月くんの様子がいつもと少し違うように思えた。
……なんだろう。
何かあったんだろうか────。
気にはなったものの、とにかく葉月くんが話し出すまでは黙って待つことにした。

