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宵闇
第13章 衝動

「……琴音ちゃん」
やがて、名前が呼ばれ。
落ち着かない沈黙から解放されほっとした私は彼に顔を向け、ん? と話の続きを求めた。
「その後……どう?」
「え?」
その後……?
何のことかわからない顔をしてしまっていたのだろう。
「彼……村上くんだっけ? うまくいってる?」
そう聞き直された。
「あ、うん……」
──そうだった。
葉月くんには村上くんと別れたことはまだ言ってなかった。
だって言ったらきっとまた心配される。
それにだめになった理由を聞かれても私には……答えられない。
今は曖昧に濁すしかないと、咄嗟に判断した。
「まあ……ね」
顔を戻し俯きながら発した言葉に、右側から感じた視線。
ちら、と葉月くんの方を見ると、私をじっと見つめている彼と目が合う。
「え? 何?」
思わず口にすると葉月くんは静かに言った。
「……どうして嘘、つくの?」
──え?
途端に、どくんと胸が波打つ。
「え……」
嘘、って──え、何……?
どくどくとそのまま早鐘を打ち始める心臓。
葉月くんの言葉の意味が──わからない。
でも、いい意味じゃないことだけはわかる。
「彼とはもう別れたんでしょ?」
「────!?」
そして続いたまさかの言葉に息を飲んだ。
どうして──どうして、知ってるの?
──どういうこと?

