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宵闇
第13章 衝動

そしてまた、指の代わりに唇が。
触れるだけのそれは、角度を変えて何度も落とされた。
……いったい何が起きてるの?
わけがわからないまま、その口づけを受け続ける。
葉月くん……私を好きって、そう言った?
「琴音?」
呆然としたままの私を不思議に思ったのか、葉月くんが私と視線を合わせてきた。
「……はづき、くん……」
反射的に答えたものの、頭の中では、嘘、とか、本当に? とか、そんな言葉ばかりがぐるぐると回っていた。
葉月くんはそんな私を見つめながら、困ったような苦笑いをしてる。
やがて、こつんと合わせられた額。
「……追い詰めるような聞き方をしてごめん。
でも、琴音の本音をどうしても知りたかったから」
頬を撫でる指先。
ゆっくりと、優しく。
「まさか琴音も同じ気持ちだったなんて……彼に聞かされるまで本当に気づかなかった」
「葉月くん……」
彼を呼ぶ私の声は震えていたかもしれない。
「ほんと……?」
「ん?」
「私のこと、妹とかじゃなくて……?」
「……もうずっと前から琴音をひとりの女の子として僕は見てたよ」
葉月くんが口にする言葉は、どれも私と同じ気持ちだと……そういう意味のものだった。
それでもまだ信じられない。
これは現実?
……本当に、そうなの?

