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宵闇
第13章 衝動

「……琴音は?」
「え?」
「いつから僕のことを?」
向けられた視線。
なんだかたまらない気持ちになり、うつむいて膝の上に置いてた手をぎゅっと握った。
「……自覚したのはあのときっていうか……」
でも、私もちゃんと話さなくちゃ──と、その始まりを口にする。
「あのとき?」
葉月くんの当然の疑問に
「えっと……その……終電乗り遅れて、葉月くんちに……」
恥ずかしさをも感じながら続けると、ああ……うん、とすぐに察してくれた。
「ん……最初はね、その……そういうことされたからかなって。
だから一時的なものなのかなって……そう思ったんだけど」
「うん」
「でも一度そう思っちゃったらどんどん気持ちが止められなくなっちゃって……いつも葉月くんのことばっかり考えちゃって……」
そこまで話して、大きく息を吐く。
「葉月くんはお兄ちゃんなんだから、って何度も自分に言い聞かせたの。
だからだめ、って必死で気持ち止めようとした。
でも……だんだん、なんで私は妹なんだろうって、そういう状況がどうしようもなくつらくなってきて……」
膝の上で堅く握っていた私の手を包み込むように、葉月くんの手が伸びてきた。
「……恋愛対象として見ちゃダメだってずっと思ってたの。たぶん無意識に」
手のひらを返し、葉月くんの手をきゅっと握る。
握り返された、あったかいそのぬくもり。

