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宵闇
第13章 衝動

「……え?」
『覚悟』という言葉の意味がわからず、葉月くんを見つめ返す。
「うん。……もしね、父さんや雪乃さんに反対されたら琴音はどうする?」
反対────?
「それで挫けて、やっぱり付き合うのをやめたいとか、兄妹に戻りたいって……そう言い出したとしても僕はもう無理だから」
そこであらためて自分たちの関係を思ったものの
「僕はずっと琴音だけを想ってきた。でも兄妹である以上、簡単には踏み出せなかった。琴音も同じ気持ちだとわかったからようやく踏み出せたんだ。
……多分、一度でもこの手に琴音を抱いてしまったらもうきっと離せなくなる────」
……その、強い想いに胸がぎゅっとする。
間違いなく、喜びで。
「琴音には、何があっても僕を選ぶ覚悟はある?」
「葉月くん……」
「さっき、琴音は僕を怖がってたよね。でもあれも僕だよ。
琴音が知ってるのは兄としての僕だけかもしれないけど……本当はそういうところもあるんだ。
独占欲だって強いし──あのとき琴音に触れたのも、もっともらしいことばかり言ったけど結局のところただの男として意識してほしかっただけなのかもしれない。
……前の男への嫉妬も正直あった」
淡々と続ける葉月くんの瞳が時折苦しそうに揺れる。
「だとしても僕を愛せる?
僕を受け入れたら最後、容赦なんてしないよ?
もう遠慮しないし、我慢だってしない。反対されても関係ない。琴音を諦めるなんてこと、僕は絶対しないから」
静かなのに激しさを感じる口調で話される言葉の内容。
それは私への想いだけで満たされていた。
……くらくらと、眩暈がしそうになる。
「そんな僕に愛される覚悟が琴音には本当にあるの?」
私の中の奥深くまで流れ込んでくる葉月くんへの想いに、深く、芯まで、酔わされる────。

