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宵闇
第13章 衝動
……やがて唇と指先がそっと離された時、私はもう放心状態に近かった。
「……大丈夫?」
葉月くんが声をかけてくれたけど返事なんてすぐにできない。
荒い息が整うのを待ち、それからようやく口を開いた。
「……っ、葉月……くん……」
「苦しかった?」
頬を撫でられ、優しく問われる。
目元をそっと拭われ、涙が滲んでいたことに気づく。
「ごめん……ちょっと自分でも……止められなくなって」
大きく息を吐きながら、束の間目を閉じて前髪をゆっくりかきあげる葉月くん。
私を見下ろす切なそうなその表情。
頬に手を伸ばした。
「いいよ? 葉月くんの好きにして……」
葉月くんは一瞬驚いたような顔をした。
「……何? どこで覚えたのそんな殺し文句」
その笑みはたまらなく色っぽい。
思わずどきっとしてしまうほどに。
そんな私の動揺を知ってか知らずか
「……後悔するよ?」
葉月くんはそう呟いて私の両手に自分の両手を重ねてベッドへと押さえつけ、左胸の膨らみに口づけてきた。
「っあ」
強く吸いつかれ、痛いような、痛くないような──よくわからないその感覚に声が漏れる。
繋がれた手の指と指を絡められ、強く握られた。
……やがて、唇が離される。
「ついた」
呟いて、ふっ、と口元を綻ばせた葉月くんは、そのまま私と目を合わせてくる。
「琴音につけたよ、僕の痕」
「え?」
「ここに」
教えられたその場所に視線を向けると、白い肌が一部分だけ小さく紅く色づいているのが見えた。