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宵闇
第13章 衝動
「それからなんだか先輩のことが気になって……そしたら告白されたから。
だから私……ちゃんと考えずにすぐ返事しちゃってた」
「……うん」
「だからあれはなんていうか──自業自得かなって……」
そう口にした途端、前触れもなく本当に突然、涙が零れた。
「……私、先輩のことちゃんと見てなかったんだね。
先輩の中に無意識のうちに葉月くんを探してた。
でもやっぱり葉月くんとは全然違ってて……そういう私の気持ち、先輩はたぶん、気づいちゃって」
声が少し震えてしまって、一度小さく息を吐き、気持ちを整え直した。
「うん……だから。
私がそんなだったから、先輩……きっとあんなこと────」
最後まで泣かないで話したかったのに。
泣いてることに気づかれたくなかったのに。
身体が触れ合ってるから、全部葉月くんに伝わってしまってるんだろう。
そう思ったら、また、溢れてくる涙。
「……っ、ごめんね、ちゃんと話すから……」
葉月くんは何も言わずに私の手を握るその手に、静かに力を込めてきた。
後頭部に、そっと顔を寄せるその気配。
呼吸を、すぐそこで感じる。
「……大丈夫。ゆっくりで」
優しくそっと囁かれ、もう一度息を吐いた。
吐き出した息まで、少し震えてしまっていたけど。
「私……ちゃんと先輩のこと好きなんだと思ってた。
だからなんで先輩が私の気持ちを疑うのか本当にわからなかったの」
葉月くんの手は私が言葉に詰まると時折動いた。
私の指を自分の指で辿ったり、きゅっと握ったりして、ちゃんと聞いてるよ、って教えてくれる。
黙ったまま、そうやって話すことを促してくれる。