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宵闇
第4章 琴音


──そしてそれは、その年の秋のこと。


「え!? だって葉月くん、地元の大学受けるってずっと言ってなかった!?」


食卓を囲んでいるとき、お父さんのふとした言葉で葉月くんの志望校が変わったことを知った私は、思わずそう口にしていた。


「考えてたんだよ。どっちにしようか」


葉月くんの、それは私の視線を受け止めながらの答え。


「──で、やっぱりそっちを受けることに決めたんだ」


葉月くんが言う『そっち』は──県外の、大学。
ここからはかなり遠い。
気軽に帰って来られるような所ではない。

夏に聞いたときは地元の大学を受けるつもりだと言っていたので、私もすっかりそのつもりでいた。
その大学も家から通うには少し遠いのでやっぱり一人暮らしになったんだろうけど、すぐに帰って来られる距離と、そうでないのとではやっぱり全然違う。


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