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第14章 彼ら

「じゃあさじゃあさ！　当然……したよね？」

「ん……えっ!?」


まだ気持ちが舞い上がってるのか、加奈の言葉を思わず肯定してしまい、それからそれに気づいて動揺した。
顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。


「琴音、わかりやすっ！」

「もー！」

「だよねー！　その展開でしないわけないよね!!」


やめてったら！　と、恥ずかしさにたまらず加奈を押しやって、手にとったクッションを自分の顔に押し付けて隠す。


「……かわいい」


ぼそっ、と聞こえた呟き。
え？　と目だけ出して、加奈を見る。


「琴音かわいいっ!!」


繰り返した加奈が、たまんない！　と叫んでまた私に抱きついた。


「ひゃあっ」

「かわいすぎだから!!
桜井先輩メロメロだったでしょ!?」

「メロメロって何がっ」

「え!?　だからえっちのときとか────」

「は!?」


ストレートすぎる物言いに、焦りが止まらない。


「で、よかった!?　ねえどうだったのー!?」

「そんなの言うわけないでしょ!?」

「何でー!?　知りたいー！」

「言わないっ！」

「お・し・え・て！」


ね？　と、懇願してきたと思ったら


「……っていうかさー。桜井先輩上手そうだよねえ～？」


ねえ琴音ー？　と、今度はにやにやしながら私を覗き込むようにしてくる。


「聞いてあげるからさー。
加奈さんに何でも言ってみ？　自慢したいでしょ？」

「────っ……！」


……ああもう降参。
加奈にはほんと敵わない。


「もう……わかった、わかったから！」

「お！　言う気になった？」


好奇心丸出しのその顔に、こっちまで笑えてきてしまう。


「えっと……全部加奈の言う通りです！」


おわり！　と強引に話を切り上げ、立ち上がる。