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宵闇
第14章 彼ら
「え! 何それ詳細はっ!?」
「は!?」
そんなの言えるわけないじゃん、とまたしても顔が熱くなるのがわかった。
「とりあえず着替えてくるからっ!」
ここは一度部屋に避難しようと、そんなふうに言って歩き出した私を
「……琴音!」
背後から呼び止める声。
もう、何──と振り返った瞬間だった。
立ち上がっていた加奈が、私を正面から抱き締める。
「……よかったね!!」
そして腕を緩め、そう言って私を見た。
その目が、少し潤んでいる。
私の両手をぎゅっと握りながら
「……琴音、ずっと彼氏作んなかったからさ。
これでも心配してたんだよ? やっぱあの先輩の影響なんだろうな、って……。
……だから琴音がいまこうして幸せそうなのが、すごくうれしい!」
「加奈……」
確かに、先輩と付き合っていた頃、精神的に不安定だった私を一番近くで見ていたのは加奈だ。
もちろん、別れたあとも。
……いっぱい心配かけてたんだね、加奈に。
「……ありがと、加奈」
泣きそうになった。
というか、すでにもう泣いていたのか。
「ちょっ……やだ!」
慌てたように、加奈が私の両手を握る手に力を込めて揺さぶってくる。
「琴音が泣いたら私も泣いちゃうじゃん……!」
そう言う加奈も、やっぱりもう泣いてて。
「もう……早く着替えておいでよ!
話いっぱい聞いてあげる!」
離した手で目元を拭いながら、照れくさそうに私の身体を軽く押した。
「……うんっ」
そのまま部屋へ向かうと、背後から
「えっちな話ももちろん聞くからねー!」
そんな言葉をまたかけられ、泣き笑いのまま私は部屋へと入った。