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宵闇
第14章 彼ら


大学のカフェテリア────。


あれから、家にいるときも大学にいるときも、私は加奈に事ある毎にいろいろ聞かれていた。
さすがにここは場所が場所なので、そういう方面の話はなしだったけれど。


「それにしても桜井先輩すごいよね。
だって琴音が自分の気持ちに気づくより前──ほんとにずっと前から琴音を好きだったってわけでしょ?
しかもそれを何年も隠し通して」


あのあと、気持ちが通じた経緯とかは簡単に話してあった。
もちろん、村上くんが動いてくれたことも含めて。


「琴音もねー、もっと早く自分の気持ちに気づいてれば。
そしたらふたりがくっつくのもきっと早かったんだろうけど」

「……あー。それはどうかなあ……」

「ん?」

「早く気づいてても、私も……もちろん葉月くんも、ずっと気持ち隠し続けてたんじゃないかな」


──そう。わかってる。
葉月くんとこうなれたのは、村上くんが陰で動いてくれたからだってこと。
そうでなかったら、私たちはたぶん……こんなふうになれてなかった。
似た者同士の私たちは、相手を思いすぎて、自分の立場を考えすぎて、身動きが取れないままに思い悩み続けているしかなかったんだろうと。


「……村上くんっていい人すぎ……」


それが限界まで達したとき、もしかしたら私たちの関係は動き出したかもしれない。
両想いだったとわかった今だからこそ、そんなふうにいつかは想いは通じたかもしれないと思えるけど────。


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