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宵闇
第16章 囚われる

洗面所でワンピースを脱ぎ、バスルームに入る。
頭から浴びたシャワー。
気持ちがいい。
──もう。
朝からなんなんだろう、葉月くんのあの色香は。
身体を重ねるようになってからそれをすごく感じるようになったんだけど────。
「……困っちゃうよ」
どんどん好きになっちゃう。
ただでさえ大好きなのに。
しかも、最中はあの口調で……態度で、私を苛めてくるんだもん。
優しく、でも──意地悪に。
昨日なんて、あんなに深くいかされて……。
ああもう。
どんどん葉月くんにはまっちゃう。
……そんなことを思いながら身体を洗っていると、二の腕の痕に目がいった。
「そうだっけ……」
これ、つけられた。
私も、葉月くんにつけた。
「まだ消えてないよね」
あとで見せてもらおう──そんなことを考えて、一緒に思い出してしまった……葉月くんの、あれ。
「────っ……!」
葉月くんのを舐めるなんて。
あんなこと自分ができたなんて今でも信じられない。
して、って言われたわけじゃなくて、自分からしたい、って思った。
……自分の知らない自分が、私の中にいた。
「はあ……」
曇っているバスルームの鏡にシャワーをかけた。
映る、裸の私。
見た目なんて何も変わってないのに。
中だけが、どんどん変わっていく。
葉月くんの手で。
その目で……その声で。
存在すべてで変えられていく。
それとも教えられていくのか。
本当のわたしを。
目覚めさせられているのか。
私も知らない──いろいろなわたしを。
でもそれは、全然不快ではなくて。
それを知っているのは私と葉月くんのふたりだけ。
その事実に眩暈がするほどの幸せを感じる。
……同じように、あんな葉月くんを知っているのも私だけならいいのに──そう、思った。

