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宵闇
第16章 囚われる


バスルームを出て、さっき借りたTシャツを着る。
髪を乾かそうとドライヤーを探すも、いつもの場所に見当たらなかった。
他のところを探してみるも、やっぱりない。

葉月くんに聞こうと思って洗面所を出る。
ベッドに腰掛けていた彼が私に気づいた。
手にドライヤーを持って示してくる。


「髪、乾かしてあげるからおいで」


その優しい笑顔に吸い込まれるように、私も笑いながら葉月くんの元へと近づいた。
ベッドに座ると、葉月くんが後ろからドライヤーの風をあててくる。


「きもちいい~」


されるがままの私は目を閉じて、葉月くんの優しい手つきに浸った。


ああ……幸せ……。


思わず顔がにやけてしまう。


「……何笑ってるの?」


目を開けると、背後から私の顔を覗き込んでいる葉月くんと目が合った。


「にやにやしちゃって」

「んー? だって~」


やっぱり顔が笑ってしまう。


──と、ドライヤーの音が突然止まった。
顎を掴まれたかと思うと、突然されたキス。


「んっ」


唇をなぞる舌先が、くちゅり……と口の中に入ってくる。
少しだけ、絡ませられた舌。
あ……とぞくりと背中を走るものに、思わずシーツをぎゅっと握った。
途端に離れていった唇。
物足りない──私は口を開いたまま余韻に浸った。


「……そんな無防備な顔してると襲っちゃうからね」


かけられた言葉に、一瞬……むしろそうしてほしいとまで思ってしまい、そんな自分を戒めるように口を閉じる。


「続きは髪が乾いたら────」


そこまで呟き、葉月くんはまたドライヤーのスイッチを入れ、私の髪に触れ始めた。


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