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宵闇
第16章 囚われる


……続き。


それを想像した私は心臓のどきどきは早まるばかりで。
なんだか……髪をさわってくる手つきにさえもぞわぞわとしてしまう。
気持ちいい。


時折、指が耳を掠めた。
たまらず、目をぎゅうっとつぶる。


葉月くんはただ髪を乾かしてくれてるだけなのに。
ドライヤーのスイッチを入れるみたいに私のそういうスイッチも入れられてしまったかのように感じたりもした。


──やがて再び、ドライヤーが止まった。


すっ……と右側の髪が左へと避けさせられる。
露わになった耳に、葉月くんが顔を寄せる気配。


「終わったよ」


ただの、それだけの言葉なのに。
なのにどうして私の胸はこんなにどきどきするんだろうか。


「これ、返して?」


え? と何のことか戸惑う私の着ていたTシャツの裾にかけられた葉月くんの指。
理解して慌てる暇もなく、するりと上に脱がされた。
全裸になってしまった私はそのまま背後から葉月くんに抱き締められる。


「ずっと我慢してたでしょ」

「違っ……!」

「だって……耳さわるたびに身体、反応してたよ?」

「わ、わざとさわってたのっ!?」


葉月くんが、ふっ……と笑いながら


「怒った?」


と顔を覗き込んできた。
私は反対側へと顔を逸らす。


「琴音? ごめんね?」


葉月くんの言葉は謝ってるそれだったけど、態度は全然そんなかんじじゃなかった。


「……っ、もう!
葉月くんってやっぱり意地悪……!」


思わず抗議してしまうと


「え?」


僕が? と、心外だなと言わんばかりの口調で返してきた。


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