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第16章 囚われる

「やぁっ……いや……！」


思わず口走ると、葉月くんはその声に喘ぎと違うものを感じとってくれたのか、動くのをやめて私の顔を覗き込んできた。


「ん……痛い？」


気遣ってくれる言葉も表情も、ちゃんと優しくて──私の心が一気に緩む。
大きく首を振って彼の問いを否定しながらも、感情の急激な変化に自分でも混乱してしまったかのように、う……と涙がこみ上げてきた。


「──え!?　どうしたの……！」


葉月くんが慌てた様子で私の頬に手を伸ばしてくる。
零れてしまった涙を指で拭われた。


「僕……乱暴だった？」


ううん、と首を振り……彼の首にしがみつく。


「……やだ……」


耳元で、言った。


「いくの、いや……！」


ひっく、としゃくりあげてしまった私をぎゅっと抱き締めてくれる腕。


「……どうして？　こわい？」


反射的にまた、首を振った。


……違う、そんなんじゃない。
そういうんじゃなくて────。


「やなの……っ……！」


だってずっとこうして繋がっていたいのに。
ずっと、葉月くんを深く感じていたいのに。


「離れるの、いや……！」


それなのに、いっちゃったら────。


「終わるのやだぁ……っ……」

「琴音────」