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宵闇
第18章 動き出す
「雪乃さんは僕たちのこと反対ですか?」
「……反対って……反対も何も────……」
そしてまた、繰り返された溜め息。
……沈黙が、訪れる。
気まずいような雰囲気が漂っているこの空間。
それを先に破ったのは僕だった。
僕を拒んでいるようにも見えるその背中に向かって、言う。
「……雪乃さんが混乱するのも当たり前だと思う。
でも本当に僕にとって琴音ちゃんはとても大事な存在で。
彼女も、そうだって言ってくれてます。
だから──一緒になりたい」
雪乃さんがゆっくりと振り返って僕を見た。
その、目。
受け止めて、見つめ返す。
「お願いします」
そのまま立ち上がり
「琴音ちゃんと一緒になること──どうか許してください!」
言いながら、深く頭を下げた。
もちろん、誰に反対されても琴音を諦めるつもりなんてない。
それでも──琴音のためにも、雪乃さんにはわかってもらいたい。
その一心だった。
「……葉月くんの気持ちはわかった」
やがて、静かな口調で呟くようにそう言われ、ゆっくりと頭を上げた。
僕を見ているようでいて、けれど視線はずれたままの雪乃さんを見つめながら、言葉の続きを聞く。
「お父さんが何て答えたのか……それは今は聞かない。
私は私で、まず琴音と話がしたいわ。
あの子の口からちゃんと聞きたい」
そこまで言うと、不意に視線を僕の目へと流してきた。
そのまま真正面から僕を見る。