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宵闇
第19章 枷
空いているホテルを見つけ、車を駐車場へと入れた。
ワンルーム・ワンガレージ式のそこは、駐車場からまっすぐ部屋へと入れるようになっている。
「こういう仕組みになってるんだあ」
車を降りながら琴音が呟く。
「……ホテル来るの初めてだもんね」
助手席に回り込んで答えると、ん……と僕の手を握って少し恥ずかしそうに俯くその可愛らしさ。
本当に、たまらない。
……早く、琴音に触れたい。
沸き上がってきた急激な欲望が、彼女の手を握り返す強さとなってあらわれた。
部屋に入ると
「わ! なんかすごーい!」
琴音がきょろきょろとあたりを見渡し、部屋の奥へと進んでいこうとする。
「──待って」
僕は握ったままの手を、ぐっと自分の方に引き寄せた。
あ、とよろめくようにして僕の腕の中にすっぽりおさまった彼女の身体。
そのまま抱き締めて、囁いた。
「……そんなのあとにして?」
彼女の顎を掴み自分の方に向けさせ、その唇を奪う。
「んっ」
琴音が苦しそうに息を漏らす声。
けれどやがて両腕が僕の首へと回される。
抱き締めたまま身体を反転させ、琴音を壁へと押し付けた。
しばらく、その柔らかさを堪能した後、唇を解放し彼女を見つめる。
早くもとろけさせている目と、キスのせいか艶っぽく濡れた半開きの唇を僕へと向けている琴音の表情に、ぐっときた。
「葉月くん……」
可愛い唇が、吐息混じりに僕の名前を呟く。
まるで誘うように。
その先をねだるかのように。