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宵闇
第19章 枷
「……ほしい」
とろんとした瞳で見つめてきて、床に置いていた僕の指に琴音は自分の指を絡める。
「おねがい……」
思わずごくりと鳴った喉。
胸の動悸が激しくなっていく────。
「……もう欲しいの?」
けれどそれを隠し、その綺麗な髪を撫でながら問えば、ん……と溜め息のような肯定の言葉を彼女は口にして、僕の首に空いている腕を回し、引き寄せる。
耳に寄せられた唇が、囁いた。
「……なんだかおかしくて」
はあっ、と吐いた、甘ったるい息。
「おさまらないの」
その言葉にたまらず目を閉じる。
……くらくら、する。
僕も大きく、息を吐いた。
「奥がね……じんじんするの」
それだけで達してしまいそうなほどの、言葉での誘惑。
僕は彼女の腕をそっと解いて、その顔を見た。
切なそうに見つめられて、絡められた指に思わず力が入る。
彼女はゆっくりと顔を僕の身体の脇に向け、そこにある自分と僕の絡んだ指を口元へと持っていった。
綺麗なラインを描く、彼女の横顔────。
目を閉じ、指先にそっと口づけて。
それからゆっくりと目を開けて、視線だけを、すっ……と僕に流してきた。
熱に浮かされたような目が色っぽく潤み、僕を求めている。
……いったい。
いったいいつから琴音はこんな目で僕を誘えるようになったのか────。