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宵闇
第19章 枷
「葉月くんは、そんな私のこと面倒くさいなあって思う?
……幻滅とか、しちゃう?」
琴音にそう問い掛けられた僕はすぐに首を振った。
「しないよ。するわけない」
好きだから。
どんな琴音も、僕は好きだから。
どんな僕でも好きだと彼女が言ってくれたように、僕だってそうだから。
「ほらね? 一緒でしょ?」
僕と目を合わせて、琴音がくすっと笑った。
「もうっ……!
どんな葉月くんでも好き、ってちゃんと前に言ったと思ったのになー」
「ごめん……」
「いつもみたいな大人な葉月くんも……こういう葉月くんも、やっぱり全部好きだよ?」
「……うん」
僕に抱きついて、琴音が耳元でそっと囁く。
「……絶対にそんなことないけど……もし誰かが私のこと欲しいって言ったら、葉月くんはその誰かに私を譲っちゃったりするの?」
琴音の身体を自分から離し、ちょっと拗ねたような表情で僕を見つめてくる彼女を見つめ返した。
そんなの……譲れるわけがない。
絶対にそんなことはしない。できない。
……だって僕より琴音を愛せる男なんてこの世にいるわけがないんだ────。
「……譲らない」
そう呟き、そのまま琴音に口づける。
入り交じったいろいろな想いが、彼女の唇を感じた途端に欲情となっていく。
それに支配された僕は、唇を重ねたまま彼女のバスローブの腰紐を解き、そのままベッドへと押し倒した。
「んっ……」
琴音が漏らす声。
僕の大好きな、甘いその声。