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宵闇
第20章 条件

「葉月」
お父さんは来てすぐ、葉月くんを呼んで。
「やったな!」
そう言って、笑った。
葉月くんもすごく嬉しそうにお父さんと笑い合っている。
「琴音」
そして、私も呼ばれ。
「琴音は、娘だけじゃなくて、葉月のお嫁さんにもなるんだなあ……」
やっぱり、嬉しそうに笑ってくれる。
「……うん。よろしくね、お父さん!」
そう言うと、頷いて私の頭をぽんぽんと撫でてくるその仕草────。
……ああ、そっか。
思わず、笑みがこぼれる。
葉月くんの、私の頭を撫でる癖。
あれってお父さんからきてたんだ。
「ふふっ」
「ん?」
思わず笑い出した私に、お父さんが不思議そうに聞いてくる。
「ううん……!
……嬉しくて、勝手に顔が笑っちゃうの!」
でもそれは内緒にしておこう──そう思い、そんなふうに誤魔化した私を
「そうか」
私も嬉しいよ、と言いながらまた撫でてくる。
お父さんはそのあとママのところへ行き、何か話しかけていた。
ママの表情がころころと変わり、最後には仲良く笑い合っていた。
私も、葉月くんと笑い合う。
みんなで、そんな穏やかな時間を過ごしていたときだった。

