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宵闇
第21章 月影
「……っ、葉月くんっ!」
ここまだ玄関なのに──と、頭を振って抵抗する。
「ね……そういうのは部屋でっ……」
「ん? 琴音の?」
「……ん」
「でもここには僕たちしかいないよ?」
「そうだけどっ……!」
私は大きく息を吐く。
「……なんか今日の葉月くん……いつもより────」
「何?」
「……っ、意地悪っ……!」
「──え? これで?」
ははっと笑われる。
「なんだろう。琴音が言う『意地悪』の基準はよくわからないな」
楽しそうにそう言うと、やっと解放してくれた。
「もうっ……!」
葉月くんの胸元をとん、と叩いて抗議して、そのままその手を彼の手へと滑らせる。
「……行こ?」
きゅっと掴んだ手。
私は葉月くんの手を引いて、LDKへと歩いた。