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宵闇
第21章 月影


頷く私に、葉月くんが表情を緩ませる。


「……たくさん、話をしよう?」


そしてまた、繰り返される言葉。


「嬉しいことや、楽しいこと」


重ねられた私の手をすくうように持ち上げて、指を絡ませてくる。


「不安も心配も、悩みも────」


そのまま、口元へともっていく。


「全部話して、ちゃんと理解しあって」


私を見ながら。


「そうやって、ずっと一緒に生きていこう」


まるで、祈りのように。
誓いのように──指先に触れた唇。


苦しいぐらいに胸がきゅうっとした。
たまらず、私の唇から、は……と息が漏れてしまう。


「……うん」


もう、それだけ返すのが精一杯だった。


「僕も言うから」

「ん……」

「そのときは、琴音も受け止めてくれる?」

「────っ」


急激に沸き上がってきた衝動に抗う術はなく、私は葉月くんに抱きついた。
そして、何度も頷く。
そんな私の身体を彼は強く抱きしめ返してくれる。


「私も……葉月くんのことずっと好き。
好きだから。信じてね……!」

「ん……もちろんだよ」


緩められた腕。
身体を少しだけ離し、至近距離で見つめ合う。


「……葉月くんに愛されてること、当たり前だなんて思わないようにするね」

「琴音……」

「葉月くんにずっと好きでいてもらえるように、ちゃんとする」

「……じゃあ僕も。琴音にずっと愛してもらえるように頑張るよ」


笑いながら、私の髪に触れる。


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