この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
宵闇
第21章 月影


手に取った、一房。
唇が寄せられて。


「……幸せだな、ってすごく思うよ……」


目を伏せながら、髪に口づけてくれた葉月くんの顔が、不意に少し苦しそうに歪んだ。


「葉月くん……」

「ずっと──ずっと思ってきたんだ」


はあっ、と吐かれた息。


「琴音とこうなりたいって何年も思ってたんだよ。
叶わないって思いながらも、心のどこかではずっと諦め切れなくて」


すっ……と、流されてきた視線。
私は射抜かれたように息を飲む。
そのまま動けなくなった。


「琴音への想いに気づいた日」


髪を解放したその指先が、私の頬に触れる。


「苦しくて、家を出ることを決めた日」


そのまま、すっ……と撫でられて。


「そばにいたくて、帰ることを決めた日」


それはまるで壊れ物にでも触るかのように優しく。


「琴音の身体に初めて触れた日」


……辿り着かれた唇。


「嬉しかったけど──でもそれからは正直もっと苦しくなった。
……いっそ触れなければよかったとまで思ったよ」


かたちを、なぞられる。


「苦しかった」


どうしようもなく苦しかった──と、つらそうに目を細めて、私を見つめながら、そうこぼす。


「だから今はあり得ないぐらいに幸せすぎて──本当はこれって夢なんじゃないのかな、って……今も時々思うんだ」

「葉月くん────」


/509ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ