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宵闇
第21章 月影
「だって……」
楽しいんだもん、と続けようとした私の唇が彼の指で塞がれ、そのまま指でなぞられていく。
無意識のうちに胸元へと添えた手。
葉月くんが、ゆっくりと顔を近づけてくる。
少し顔をあげて目を閉じた私の唇にやがて押し当てられた、柔らかなその感触。
……数秒後、唇を離された私は少し俯いて、深く息を吐いた。
葉月くんの喉が、上下するのを目にしながら。
「今日は優しくするね」
そしてまた、口づけられる。
唇をゆっくりと辿る、彼の舌先。
葉月くんが、彼の胸元に添えていた私の右手を取り、指を絡ませてそっと握った。
もう片方の手が背中に添えられる。
つつ……と下からなぞられ、ぞくぞくとした感覚に、ああ……と私の身体が軽く仰け反った。
離れた唇を追いかけてくる、葉月くん。
再び重なったその隙間から、くちゅりと差し込まれる舌。
「んぅ……ふ……」
背中を撫でられ。
絡められた指は、きゅっと握られ。
指の間をゆっくりとさすられ。
唇に差し入れられた舌が、私を見つけ、捕らえて、吸う。
敏感な上顎を舐めあげてくる。
……やがて唇が離されたとき、透明な糸が私たちを繋いでいた。
はあっ……と、うっとりと目を閉じながら、息を吐く。
葉月くんも息を吐きながら、私の額に自分の額をくっつけてきた。
「好きだよ……」
瞼に押し当てられた唇が、頬を下り、耳へと辿りつく。
思わず首をすくめてしまった。
舌先が、つつ……と耳に這わせられる。
耳たぶを口に軽く含まれ、舌でちろちろと揺らされた。