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宵闇
第5章 紅


……やがて、抜かれた指。


先輩が離れ、私は足を閉じた。


聞こえてきた、カチャカチャという金属音。
服が床に落ちた気配。
引き出しか何かを開ける音。


「ちゃんとつけるから」


呟きと共に、何かをしている気配。


ぎし……と。
ベッドが軋んだ。


先輩の手が、閉じていた私の足を再び開かせる。
私のそこに押しつけられたものは、さっきまでの指とは違う太さがあった。


……これって……先輩の────。


「や……」


思わず口をついて出た言葉は、少し震えていた。


「大丈夫だって……ちゃんと慣らしたし」


そして、ぐっ、と。
力が込められたそれが、私のなかへはいってこようとする。


「いっ……!」


痛い────!


想像していた以上の痛みに、先輩が私の身体の両脇についている手を思わず掴んだ。


「……っ、力抜けよっ」


早口で先輩が言う。


私は首を激しく振った。


無理!
こんなの入るわけないよ────!


「痛い! やめて!」

「だから力抜けって!」


苛立ったようにそう言われても、痛くて、こわくて。
どうしても勝手に力が入ってしまう。


「もうやだあ……っ!」


身体が逃げないようになのか掴まれた腰。
ぐっ、ぐっ、とそのかたまりが少しずつ、奥へと入ってくる。


「……っ、う……」


痛い。すごく、痛い。
涙が出る。


そして、もう少し、と先輩が呟いたときだった。


「────!!」


身体を深く鋭い痛みが貫く。


「う……」


一気に奥までいれられ、もう声も出せなかった。
涙だけが溢れ、流れていく。

その涙を指で拭いながら先輩が言った。


「……っ、泣くなって──も、全部はいったし……」


痛み。
苦しさ。
圧迫感。

それらに支配されている私には何も答えられない。
その感覚にただ耐えることしかできない。


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