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宵闇
第21章 月影


「……好き」


ぎゅうっとされながらの、囁き。


「ほんと好き。もうやばいくらい琴音が好き」


両手で隠してる顔。
でも隠せていない耳元や、顎のラインに何度もキスを落としてくる。
甘い言葉を口にし続けながら。


「可愛い。食べちゃっていい?」


ぱくっ、と唇で挟まれた耳たぶ。


「っ……!」


びくんとなった身体。
思わず漏れた甘い溜め息。


「……可愛い」


葉月くんはそんな私をさらに強く抱き締めてきた。


……幸せすぎて、顔が勝手にほころんでしまう。


「あ、笑ってる」


すぐにばれ、両手を掴まれた。
顔からそれを避けさせて、今度はあらわになった唇にキスをしてくる。
ん……と素直に応えると、啄むようなそれは何度も繰り返された。
唇が合わさり、リップ音をたてながら離れ、至近距離で見つめあったまま笑い合う。

……そんなことを、ずっと。


不意に葉月くんが動いて、窓際に寄りかかるようにして座った。
おいで、と私を呼ぶ声に、身体を起こして彼のそばまで這っていく。


「ここに乗って」


示された、膝の上。


「ん……」


ちょっとだけ迷っていたら脇の下に手を入れられ、そのまますとんと彼の足に跨がりベッドに膝をつく形で座らされた。
そのまま、ぎゅうっとされる。


「ん」


少し苦しかったけど──やっぱり、嬉しい。


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