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宵闇
第22章 epilogue


──不意に。


「……今も?」


僕の独白をそれまで黙って聞いていた琴音が、前に回している僕の腕をそっと抱き締めるようにして、前を向いたまま言った。


今────。


少しだけ、間を置いて。


「……今は、そんなことないよ」


だって琴音が僕を救ってくれたんだ。
何度も、何度も──たぶんきっと君は意識せずにそれをし続けてくれた。


「琴音が、僕を愛してくれたから」


そう──理解してくれたから。


「僕は救われたんだ」


だから僕が闇に取り込まれることは、きっともう──無い。


「……そうなの?」

「そうだよ?」


僕に寄りかかったままで言った琴音の顔を見下ろしながら答える。


「そっかあ……」


琴音のその、笑顔────。


そう。
それは僕を──僕のすべてを明るく照らす、ひかり。


「私も葉月くんを助けられたの?」


ふふっ、と幸せそうに笑う。


「……そうだよ」


僕の言葉に、表情を柔らかく緩ませてゆっくりと目を閉じる。


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