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宵闇
第5章 紅
ああっ、と声をあげて先輩が不意に動きを止めた。
「く……」
私に覆い被さるようにして倒れ込んできたとき、頬に落ちた先輩の汗にぞわりとした。
濡れた肌が密着し、反射的に押し退けたい衝動に駆られたもののできるわけもなく、そのままの体勢で先輩の荒い息を耳元で聞き続ける。
ずきずきと痛む、まだ繋がっているのであろうそこ。
何もかもが、嘘のようで。
けれど、現実なのは確かで。
……でも、これでやっと終わったのだと思ったとき、新たな涙がこぼれ、耳へと伝っていった。
「あ──……」
そのとき、大きく息を吐きながら先輩が私から離れた。
ずっ、となかからそれが抜かれる。
唇を噛んで痛みに堪えた。
私の横にごろんと転がった先輩の胸が大きく上下してるのを横目で見ながら、目を拭ってゆっくり上半身を起こした。
……ずきずきと、身体中が軋んでいる。
スカートの裾を直し、ずらされているブラを戻す。
床に落ちていたショーツを拾うとき、無性にまた泣きたくなった。
後ろにいるだろう先輩に小さい声で、お手洗い借ります、とだけ伝えて部屋を出る。