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宵闇
第5章 紅
お手洗いに入り、鍵をかけた。
ずきずきとした痛み。
まだ、先輩のものが入っているような気がする。
腫れ上がっているような感覚もある。
さわるのがこわい──そう思いながらも、ペーパーでおそるおそる拭いた。
「……あ」
ついていた赤い色に、生理がきたのかと一瞬思った。
けれど予定はまだ先なはず──だから、これは。
「っ────」
顔が勝手に歪む。
何度かそこを押さえるようにして拭き、ショーツをはいた。
違和感はずっとおさまらない。
ふと、手にも痛みを感じた。
最中、噛んでいた指に血が滲んでいる。
思わず、両手で顔を覆った。
……なんで?
ねえ、なんでこんなことになったの?
泣きたい。
もうやだ。こんなの無理……!
しばらくその場所で立ち尽くしていた。
襲いくるいろんな感情の波に揺らされながら。
……でも、いつまでもここにばかりいられない。
というか、いたくない。
もう先輩なんて見たくない────。
深呼吸して、なるべく気持ちを落ち着かせようと試みる。
胸元が開いたままなことに気づき、ブラウスのボタンをとめ……それから静かにお手洗いを出た。